Petra Elena Köhle, Nicolas Vermot Petit-Outhenin
Dort wo ich gestern hätte sein sollen. Ich bin heute hier.
Vol.1 272 pages 187 images / Vol.2 272 pages 352 images | 23,2 x 16 cm | 2010 | ISBN 978-3-03746-149-5
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ともに1977年生まれで現在はスイス・チューリッヒを拠点に活動するPetra Elena Köhle, Nicolas Vermot Petit-Outheninのデュオ。オブジェの静物写真やインスタレーション作品を制作している。
本書は、ひとつのドキュメントを収録したもの。それは、2006年春に、PetraとNicolasのふたりがイタリア・パレルモへ別々に21日間かけて旅行をし、めいめいのルートや活動の詳細を記録し、彼らの滞在における刻々でどこにいたのかを実証することができるかという試みである。そのゲームのルールが、相方に対する現地での調査を禁止したとしても、サッカーフィールド22,000個分の面積の都市部という舞台で、お互いに会いたいと思っているふたりの人物が実際に鉢合うことが出来るか、という目的で、GPSとディクタフォンをあてがわれ、カメラとノートパッドを携えて、シチリアの町をさまよう。結果としてドキュメントの産物とは、(日記、写真、録音、ビデオなどの)蓄積である。それらは旅行者の視点と明確に対比され、パレルモという都市のポートレイトというものを集合的にもたらす。同時に、ふたりの主人公がそれぞれたったひとりで外国の街を動き回るなかで感じたことやムードをドキュメントしているが、常にもうひとりと偶然出くわすことを想定している。結果として、双方がそれぞれの異物性・孤独・切望と折り合いをつけたところで定着し確立されたルールはとあるシチュエーションを生ずる。各々のシチュエーションは、偶然や決定的な対峙について、また調査やハンティングについて、あるいはルールやこのゲーム自体をやめることについての内なる独白を誘発する。
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