Thomas Demandの作品は、実は見た目とは違う現実世界へと観者を騙し入れる。Demandの写真は、政治的あるいは社会的事件のあった現場をアーティスト自身が紙や厚紙を使い実寸大に作り上げた風景だが、この彫刻作品を撮影することで、“事件現場”の形跡を残しつつ特定の痕跡や主人公を排除した写真を作り上げる。
『Nationalgalarie』と題されたエキシビションと本は、ドイツ写真に根ざしたDemandの過去15年間の作品をまとめたものだ。Demandは写真における戦後の様々なシナリオから“Deutschlandbild”（ドイツ的図像）を検証する。公的事件、また私的瞬間から選ばれた主題から、社会に対する絶えず変化するヴィジョンを提示している。
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