これらの都市は私たちが訪れる街であると同時にこれまでに訪れたことがあり、まるでよく知っている気がするような街だ。
アイリーン・クンはわたしたちを心理的な迷路やどこからともなく表れたようなモニュメントのまっただ中へといざない、その光をもってわたしたちを圧倒し、想像に値する純粋な道筋へとあてはめていく。彼女によるこれらの非常に上品なイメージは、長い期間行われた調査による結果であり、それによって彼女は国際的に認知された。彼女の作品は現実を再現することに対する疑問を持ちかけているのではない。彼女が様々な都市や時代で選び撮影したこれらのモニュメントは、私たちはそのすべてを知っていながらも、まるで夢の世界に存在するものであるかのように思える。本書ではニューヨークのフラットアイアンビル、ロンドンのミレニアムブリッジ、ミラノのドゥオモ、あるいはコロッセオなど寓話の世界に存在する幻影となる。
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