ナン・ゴールディンの写真集「The Ballad of Sexual Dependency：性的依存のバラード（以下バラード）」は友人や家族、愛する人、彼女いわく「tribe(連中）」との親交やお互いの理解のためにもがき、努力する姿をうつしたビジュアルダイアリー。彼女は生活が本能的で刺激的、また騒然としたものとして世界を記録していく。1986年に初版が出版されているこの本は、ゴールディンの写真が今になっても鮮度を保った作品であることを気づかせ、鮮烈な色と率直なスタイルから、鑑賞者は作品の表層を超えて深い強烈さに出くわすことになる。彼女の私生活の詳細な記録を通して、「バラード」はゴールディンの個人的な叙事詩を明らかにするのと同時に、世界で共通の認識になっている男女の話す言語の違いや、自主性と依存症との葛藤も描き出す。
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