メキシコの写真史において、ポートレイトはスタイルや主題、年代を問わず一種の重要な伝統である。この本では、有名無名を問わず80名のメキシコ写真家による、350種類以上のポートレイトを収録している。
現代的、古典的なものを両方含めて、その多くが1970年代から現在までに制作され、この一連の多様なイメージは、フォトグラファーでエディターのバブロ・オーティス・モナステリオとキュレーターのヴェスタ・モニカ・ヘレリアスが選定し、風変わりで個人的な観点からこの特定のジャンルを紹介している。
幅広いセレクションの中心には、ポートレイトの歴史に埋め込まれたふたつの明確な考え、すなわちマスクと変容がある。顔は身体のなかでもっとも伝達性のあるパーツであり、一時的なものと常なるものとのあいだで一層魅了してきた緊張感をつくりあげ、感情を暴いたり取り繕ったりすることができる。14の章からなるこの美しい写真集は、個別みてもその集大成でみても、メキシコのポートレイトやアイデンティティを反映したものである。
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