アグネス・マーティンは、手描きによる繊細なラインが特徴の作風から一般的にミニマリストの画家だと認識されることが多いが、本人は抽象表現主義作家であると称している。本書は彼女にとって初の完全版とも言えるモノグラフで、回顧的な作品集に仕上がっている。130点のペインティングやドローイングはもちろん、これまで未公開だったテキストや講義ノートも収録されている。彼女の手紙やファックスをノートサイズに断裁して綴じられたりと、読者が親しみを持てるようなエッセンスを加えた装丁も魅力的だ。ペースギャラリー創始者のアーニー・グリムチャーによる序章では、彼の個人的な思い出として、マーティンのスタジオを訪ねたエピソードや彼女と交わした往復書簡に触れながら、アーティストの生涯や作品について明らかにする。
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