ベーリング海の南側に位置するアラスカのシシュマレフは徐々に海に浸食され、近い将来消滅してしまうと言われている。写真家、ダナ・リクセンベルグはこの島に滞在し、その土地のランドスケープと住民たちを収めた。外から来た訪問者としての客観的な視点も持ちながら、きちんとその土地に向き合いシシュマレフで起こっていることを克明に記録した。この本は、中心にこの島に住むそれぞれの家族たちが据えられ、それぞれの家族ごとに章立てし、彼らの生活を中心に編集されている。その土地で継続して営まれている日常生活とは対照的に、日々浸食され、この島が消滅へと向かっている2つの相反する状況を表現するため、写真ページは通常のカラー印刷が使われ、島の環境や状況を叙述したテキストページは渋い色味の背景色にテキストが印刷されている。
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