2003年から2004年にかけてアメリカと有志連合がイラクへ侵攻した際に、オランダのジャーナリスト写真家、ヘールト・ファン・ケステレンは現地でその様子を写真に収めた。そこに写されたのは軍事侵攻によって傷つき、恐怖に怯える市民の様子と、それとは対照的に淡々とミッションをこなしていく軍隊の様子だった。現場の様子が克明に記録されたこの本は、無線綴じの行程でノリが入りやすいよう背の部分に付けるキズを小口三方向にも加工することで、殺伐とした当時の様子をブックデザインでも表現している。また、そのキズによってページ同士が付着しているため、ページをめくるごとに発表されていなかった現実が現れてくる印象を読者に体感させる効果も発揮している。
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