本書は、北アメリカプレートのシフティング・エッジ、すなわち、ユーラシアプレートと接合する北大西洋リフト沿いのアイスランドにある東の境界、太平洋プレートに接するサンドレアス断層沿いのカリフォルニアにある西の境界を記録したものだ。
アイスランドでは、2つの地殻プレートの端が引き離されているために、リフトに沿った土地は不安定である。写真家のマリオン・ベランガーは、地熱発電のために蒸気を運んでいるパイプや温水プール、火山の残骸、尾根に沿って建つ家、そしてありのままのなにもない景観を撮影した。一方、急激な地震活動によって特徴付けられる断層のあるカリフォルニアでは、秩序をもって建造された環境は、土地の実用性を無視しているようで、危険な断絶に思える。
本書ではそれぞれの地殻から1つずつ取り出した2つのイメージを組み合わせることで、野生地帯と居住地、肥沃な地帯と不毛地帯、地質学者と一般の人との対話が可能になる。これらの二分法は、地質的な力と人間が計画している事業の限界との間における不安定な関係を引き出す視覚的な緊張感をつくり出す。
close