Ed Ruscha
Busted Glass
2007 | 13 x 10 inches (33 x 25.4 cm) | 82 pages | 37 color |
ISBN: 978-1-932598-53-7
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本作でルシェは繊細で正確な窓ガラスが割れ、壊れていく様を取り上げている。作品の透明感と分かりにくい被写体は光と陰の中でのみ明らかとなる。そして、彼のこれまでの作品と同様に、これらの小さく素晴らしい絵はもっと大きな逆説を持つ。窓はメタファーである、とルシェはこれまで言及している。80年代の絵で描かれた窓のとその光遊びは作家のディベートの背景となっているのであろう。本書では、作家が絵を描くという事の本来のキャパシティ超えていく間に擬態の物体自身もが変化していく。筆学的な暴露を秘めた絵には、ゲスチャーとの関係性とその意義を問う役割を持つ。本書で見られるドローイングを通し、ルシェの手は何を私たちに伝えようとしているのだろうか。ガラスの持つ不完全さ、あるいは常に触れられない実体。
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