本書はリチャード・プリンスの同名の展覧会に合わせてつくられた限定版であり、作家が7年かけて制作された絵やコラージュを見る事が出来る。本作ではリチャード・プリンスの模様への思い遣りと広告の潜在的意義への提案が反映されており、長年新聞や雑誌を熟読したことが伺える。本作はトルーマン・カポーティの「ティファニーで朝食を」にも呼応し、 物への情熱のある主人公ホリーと同様に見る者をそこから遠ざけるほどの誘惑を持つのだ。これらの簡潔で根拠の薄い材料と文学的な言及の組み合わせは前述したティファニーの広告、さらに、報道されたイベントや死亡記事、そして戦後の抽象的表現主義な観点から書かれた自伝的なメモから影響を受けている。
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