Peter Martens
Text: Renate Dorrestein | Graphic Design: John van Leeuwen
American Testimony
24 x 29 cm | 196 pages | paperback with dust jacket |
978-94-60830-64-8
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オランダの写真家ピーター・マルテンス(1937-1992)は、多才なストリートフォトグラファーだった。彼の作風は個人的なドキュメンタリーフォトグラフィーという長いアメリカの伝統にインスパイアされたものであったが、彼は恵まれない境遇にいる人々や浮浪者の立場をとる、さらに一歩進んだラディカルな写真家であった。彼は根気強く何百万ものひとが被っている世界の不正や不運を捉え、対立的で粒子の粗いイメージに定着させた。彼の写真は70年代から80年代初頭にかけて、ボゴタ・バンコク・カルカッタ・香港・ワガドグなど世界的にみてももっとも悪い場所を撮影してきた。救済や許しを求める信者の見えざる信念を捉えている。
マルテンスは1970年代初頭にアメリカを探索していたが、まさにその場所でフォトジャーナリストとして追究することになる大きなスケールの主題を見出した。彼の問題はストリートで起こる日常的な抗争だったり、幾人もの取るに足らない日常のリアリティをもとにしたニュースである。マルテンスは、アメリカでの生活はまるで独裁国家や途上国に住むような無慈悲であふれていると指摘する。
マルテンスの作品は言い表せないものに触れているため、たやすく近寄りがたい。亡くなる少し前、彼は自身の代表作を網羅した2冊の本[Few Loving Voices][American Testimon]を手がけていたが、結果としてそれらは彼の遺作となった。
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