Fiona Tan
Vox Populi, Norway
128 pages | Full colour | 178 x 126 mm, Soft cover | 2006 | Edition of 1,500 copies
more detail
オスロのノルウェイ議会から新しい作品を制作するようコミッションの要請をうけて、Fiona Tanはできる限り幅広く、バックグラウンドひとつとっても変化に富むような家族写真のアルバムを集めた。ついには267通りにもなったイメージは、それぞれが額装された状態で議会のビルに展示された。本書のために、彼女はすべてのイメージへ再訪問した。親密なようすの家族写真は、まるでおなじようなプライベートな瞬間を捉えている。赤ちゃんの誕生、誕生日、一家団欒、思春期、祝祭日、兄弟姉妹、初恋、お気に入りの場所。ポートレイト、家庭、自然体の3とおりの似通った系統のなかでゆるやかにアレンジされた —予期せぬ苦悩 − 模範的で陽気な連なりが展開されてゆく。
ひとつの国の人々を視覚的に編纂してゆくと、世界的なアイデンティティであるVox Populiというものが浮き彫りにはなってこない。ノルウェーはノルウェー的なものとして存在する。読者は魅惑的で人気のある民族誌学に引き込まれるが、そこでのプライベートで親密なイメージは、いまだすべてを定義する主たる物語だと思い込まれている公的な国家のポートレイトというイデオロギーに挑む。
close