「自分が植物のように感じた瞬間、花に停まった虫のように感じた瞬間にシャッターを切ります。その高揚した状態ではないときには、美しい花を美しく撮るのだと思いますが、ただそれだけです。自分にとって花を撮影するプロセスはそれ以上の事で、何か花を超えるような事です。良い写真が撮れる時には自分はいつも他の場所、この世界と世界を超えた所の間をただよっているような感覚です。」蜷川実花
約10年前に評論家の飯沢耕太郎は「女の子写真家」という表現を生み出した。その言葉は「定めてー撮る]というテクニックで、主題の「シンプル/日常の事」を撮影している日本の若手女性写真家たちを表していた。蜷川実花はその第2世代と言える。高い技術をもって、おそらくアマチュアのようなアプローチを使い、しかし楽しさと卓越したセンスがうまく織り交ざった作品だ。
この美しい本に収録された写真は、大きく引きのばされた、花や木、草や虫のまぶしいばかりのイメージがカラーで鮮やかに表現されている。
close