Els Kuijpers
Ootje Oxenaar. Designer and commissioner
Designed by Jan van Toorn, Mart Rozenbeek
2011 | English | 128 pp | 270 x 210 mm | paperback
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ダッチ・グラフィックデザインにおけるR.D.E. (’Ootje’) Oxenaarの果たした役割は非常に大きいものがある。1970年、当時オランダのPostal and Telecommunications Service (PTT)アートアンドデザイン部局に参加し、1976年まで副部局長、1994年まで部局長を勤めた。当時オランダのグラフィックデザイン界の主立った人物の1人としてOxenaarの重要性を誇張しすぎることはない。その功績は1950年代前半以降のOxenaar自身のヴィジュアルプロダクションに帰属しており、デザイン界において第一線のグラフィックデザイナーとしての位置づけを獲得した。Oxenaarはこのお陰でPTTから多くの協力を得る事が出来た。
本書は、グラフィックデザインが社会の中でどのように機能するのか的確に検証することで、仕事を依頼する側とされる側双方を関連づけている。これを通して、Oxenaarのデザイナー/アーティストとしての類希なる才能だけでなく、彼のキャリアを広める要因となった特定の文化、社会経済的な環境を正当に評価している。
こうすることで、Oxenaarのヴィジュアルプロダクションに向かうアプローチを形式主義的、または決定論的といった一方的で偏った見方になってしまわないよう回避している。従って、本書はダッチ・グラフィックデザインの簡略化された歴史であるのと同時に、それが第二次世界大戦以降50年間で初期の重要なクリエイティブ産業へと劇的発展を遂げた記録でもある。
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