本書はモーボアッサン・ダムのヘンドリキェ・バッグ美術館（ル・シャーブル）とヴィンタートゥール写真美術館で同時開催された展覧会にあわせて出版された。アムステルダムを拠点とする写真家でありメディア・アーティストのカシア・クリンペルによる、ヴァーチャルな旅行のイメージ群に付せられた記述には「『グランドツアー』は世界地図のトラベログだ」と綴られている。クリンペルは、典型的な紙と光を用いて自作した写真的だが架空のモデル風景を、オペレーティング・システムやグローバル・検索エンジンやウェブ共有サイトへと密かに送り込む。そ彼女が演出した地平線・山のパノラマや日没といったイメージが、どのような条件・状況下においてジオタグとしてシステムに取り込まれるのだろうか？彼女はアルゴリズムの予測不可能さと戯れているのだ。
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